「幼児はわがままで、自分のやりたいことしかやらない」 一般的にはそう言われていますが、子供によって随分と差があることに気付きました。
2歳になったばかりでも、やりたくないことを親がやって欲しいというと、無理してやろうとする子がいます。その反面、ほんの少し嫌なことはまったくやろうとしない子もいます。
何につけても我慢しない子供は、好きなことだけ行うため、できることが増えにくいです。そのため能力の向上も抑えられてしまうことがあるのではないかと思います。
嫌なことでも挑戦しようとする子にすると、多くのことを経験できるので、能力も向上しますし我慢することで精神的にも成長するように感じます。
親御さんは誰もが、子供がわがままを言わないでほしいと思っているでしょう。
どうすればわがままばかり言う子供にならないのか、私の経験をもとに考えてみました。
わがままな子とわがままでない子
3歳0ヶ月のわが子の七五三の写真撮影を、地元のスタジオで行いました。2時間半の撮影時間でしたが、わが子は嫌がる様子も見られませんでした。
しかし撮影が終わってアルバム用の写真はどれにするのか選んでいると、わが子が「早く帰りたい」と言い出しました。
これには私はかなり驚きました。3歳0ヶ月までに、わが子が外出して「早く帰りたい」と言ったのは、それが初めてだったからです。
わが子は外出するのが大好きです。外出していれば、どんな些細なことでも楽しめるため、退屈することがありませんでした。そんなわが子が家に早く帰りたいという意識を持ったということは、七五三の写真撮影は、わが子にとってはかなりの精神的な負担があったのでしょう。
撮影時の様子を私は考えてみました。
3歳児はまだ他人に慣れていないことが多いため、知らない人に囲まれると緊張したり嫌がったりすることが多いです。そのため楽しい気持ちにさせたいとカメラマンやスタッフの方は考えます。大きな声でオーバーな表現をして、子供を笑わせようとしてくれました。
しかしわが子は、そのような状況が苦手なのです。信用している人間以外とは、あまり関わり合うのが嫌なのです。
多くの幼児はそんな傾向があると思いますが、日ごろからわが子は、その気持ちが他の子よりもちょっと強いと感じていました。それでもわが子は頑張って、スタジオスタッフの人たちの言う通りポーズを取っていました。
撮影中のわずかな休憩時間に、わが子は置いてある絵本を読みたいと言って手放さなくなりました。後から考えると、知らない人たちに囲まれて写真を撮られるのが嫌で、「絵本を読むから撮影場所に行けない」というアピールをしていたのだと思います。
それでも少し説得すると、気を取り直したようにしっかりした足取りで撮影場所に行って、写真を撮ってもらうことができました。
その時は気付かなかったのですが、2時間半も知らない人に囲まれる体験をしたので、わが子はかなり疲れたのでしょう。そのため撮影が終わると、早く帰りたいと言ったと思われます。
その日は19時に寝たのですが、20時ごろに夢を見て泣き出しました。その泣き方は、この数ヶ月の中では最もひどいもので、20分くらい大泣きしたのです。昼間に受けた精神的な負担が大きかったことが、怖い夢を見させたのだと思います。
これほどまでにわが子にとっては負担の大きかった写真撮影だったのですが、わが子は撮影中はほとんど嫌がっていた様子は見られませんでした。きっとかなり我慢していたのでしょう。
これは後から考えると、とてもすごいことだと気付きました。わが子には忍耐力がしっかり育っていたと思えました。
わが子と比較して、知り合いの子供が七五三の祝いができなかったことを考えました。
その知り合いの話によると、「自分の子供は絶対に写真撮影は、嫌がって泣きじゃくるだろう」と考えたようです。まともな撮影ができるようには思えなかったため、七五三の写真撮影を止めてしまったのです。
小さな子供は、嫌だと思うことはしないことが多いでしょう。しかしまわりの状況を考えて、我慢することも少しずつ学んでいくものだと思います。
我慢することも少しずつ覚えていくわが子とその子の差は、どこにあるのか考えてみました。
ほとんどのママもしくはパパのどちらかは、子供に好かれていると思います。しかしその好かれる度合いは、どの親子でも同じではないでしょう。子供に何から何まで好かれている親もいるでしょうし、好きではあるけど嫌いだと思える部分が多いような親もいるでしょう。
好かれる度合いと尊敬される度合いにより、子供も言うことを聞かないわがままな子になるか、それとも素直で聞き分けのいい子になるかの差が出ることもあると思います。
わがままであることは一概には悪いことばかりではないと思いますが、わがままな子供だと、ほんの少しでも嫌だと感じたことは、すぐに嫌がってやらなくなることもあると思います。
例えば2歳前後でストライダーに乗らせようとする場合、どんな子供でも転んだら痛いし、怖いと思うでしょう。しかし親が見本を見せた場合、親のことが大好きで尊敬していて、同じことをしたいという気持ちが強い場合は、怖さや痛さを顧みずに乗ろうとすることがあります。そして少し乗れたら父母が大喜びしてくれれば、子供としてもとてもいい気持になるでしょう。
わが子はこのような経緯で、ストライダーに乗ることにチャレンジするようになり、練習しているうちに乗りこなせるようになりました。
乗れるととても楽しそうだったので、頑張ってよかったと子供でも思ったことでしょう。その時に、パパママの言う通り頑張ると、後で楽しいことが待っていると記憶してくれます。そんなことが続くと、パパママが「やってみよう」と言うことをやると、後で楽しくなると理解できるようになります。最初は嫌だと思ったとしても、我慢して頑張ってくれるようになるのです。
わが子はゴーヤを食べます。とても苦いですが、「苦いけど食べると体にいいから食べる」と言って食べます。食べるきっかけは、父親が食べていて、自分も同じようにしたいという気持ちがあったからのようです。あまり好きではない物を食べる時も、「おいしくないけどお父さんが食べるから、自分も食べる」と言って我慢して食べてくれます。
父親が好かれていて尊敬されていると、幼い子供でも父親を目標にして頑張る気持ちが出ることもあるようです。
親が好かれること
親が子供に好かれて尊敬されるためには、子供のことを真剣に考えて育てればいいと思います。
様々なことがあってイライラしている時に感情的に怒ってしまうことは、私たち夫婦には一切ありません。
また子供が自信をもってやったことは、絶対に褒めるようにしています。わが子が力作の絵を描いた時、「お父さん、見て」とか「お母さん、見て」と言ってきます。その時にどれほど忙しくても、私たち夫婦はその絵を見に行って褒めます。「忙しいから後でね」と言って、最終的には見ずに終わってしまうことは絶対にありません。
子供に付き合う頻度もとても多いです。わが子が家の中を手をつないで親子3人で走りたいと言い出すことがあります。6mくらいの距離を、休みなく40分以上走って往復することに付き合うこともあります。(いつも妻(母親)が最初にダウンします)
夕方、外に歩きに行きたいと言い出すと、2時間以上外歩きに付き合うこともあります。
子供が気持ちよく過ごしてくれるためには、親が子供に徹底的に付き合うことは大切です。そんな話を先ほど紹介した知り合いの夫婦に言ったところ、「そんなに真剣に子育てしなくても、子供は元気に育つよ」と言われてしまいました。
もう一つ私たち夫婦が気を付けていることは、できないことをやらせたいと思ったとしても、必要以上に厳しく教えたり、やらせたりしたことがないことです。
ストライダーに乗れるようにしたいと思ったときは、夫婦でかなり頑張りました。しかしそれでも、嫌がるのに無理して練習させたことはありません。
この匙加減は難しいのですが、子供にやりたいと思い気持ちにさせていくことが、とても大切だと思います。何かを教えた時に「やらない」という態度を取った場合、決して強制はしないレベルで、やってみるような気持ちにさせていくようにしました。
そのためには先ほども説明したとおり、親が好かれて尊敬されるようにしたうえで、親が見本を見せるようにしています。そしてわが子が教えたことをやってくれたら、失敗しても大げさに褒めます。できるできないではなく、トライする気持ちになってくれたことが大切なことだと思うからです。
いずれにしろ何かを強制することは、3歳児には良くない気がします。
いつかは子供が嫌がることも、やらせなければならない時が来るでしょう。しかしわが子は3歳になったばかりですから、まだその時ではないと考えています。嫌がることをさせなければならない年齢までに、子供との信頼関係をしっかり築いて、優しく教え諭せば言うことを聞いてくれる子供になって欲しいと思っています。
子供はわがままを言いますが、思っているよりも賢いものです。親の言う通りやるべきであることは、子供でも判断できることがあります。逆にやる必要がないことを、親に強制されていると感じることもあるはずです。
そんな気持ちを持たせないことが、子供の信頼を勝ち取り、正しい要求に対しては、素直に言うことを聞いてくれる子供になると思うのです。
私たち夫婦のやり方は、効果が出ていると思っています。
この記事を書いているのは3歳1か月の時ですが、今朝わが子が、朝ご飯を食べずにお菓子を食べたいと言い出しました。
その時に夫婦でわが子に、「朝ご飯を食べると大きくなるよ」「体も強くなって風邪をひかなくなるよ」「速く走れるようになるよ」と言っていると、わが子は「ご飯を食べると大きくなって、速く走れるようになる?」と聞いてきました。私たち夫婦は、「そうだよ。だからご飯を食べようね」と言うと、わが子はお菓子を諦めて納豆1バックと、魚と玄米をすべて食べてくれました。
3歳になって、嫌なことも親の言う通りやると、自分にもプラスになるとわかってくれるようになりました。
その他、何でもトライすることでできることが増えていきます。幼児期に同年の子供には絶対にできないようなことができると、幼い子供であっても、その偉業を自覚する場合があります。
そのような時には「うれしい」という、とても大きな達成感を得ることになります。その刺激が子供の脳を活性化させて、成長が促進される可能性はあるのではないかと自分の経験から感じています。
そうであれば知能が向上するので、ますます物事をしっかり考えられる子供に育ち、我慢するべき時には我慢できる子供になっていくのかもしれません。実際にわが子は、言われたことを聞くべきだという判断力が、かなり発達したと感じています。
わが子は3歳になったばかりの子供としては、できることはとても多いと思います。それはやっぱり多くのことにトライする気持ちを持ってくれたことが原因でしょう。
わが子はまだ幼いですから、わがままはもちろん言います。しかしまわりの3歳児と比べると、圧倒的にわがままを言う頻度もレベルも低いです。
これからもわが子の年齢に合わせて、わが子が最も伸びるような対応を夫婦でしっかりしていきたいと思います。