赤ちゃんのつかまり立ちや歩くことなどの成長が早いと、親としては期待が膨らみます。
成長が早いと、末はオリンピック選手になれるのではとさえ考えてしまうことがあるようです。成長の早い赤ちゃんに対する育て方と考え方について、とても大切なことをまとめてみました。
目次
成長が早い赤ちゃん
成長が早い赤ちゃんに対して親が期待する気持ちを簡単に説明します。
寝返りが早い
お座りからつかまり立ち
成長が早い子は、お座りもつかまり立ちも早い傾向にあります。それまでずっと成長が早くて、つかまり立ちまで早いと、いよいよ末はオリンピック選手になれるとまで思ってしまう人がいるようです。
そのような気持ちを持つことも当然かもしれません。何といっても自分の子供はかわいいので、ひいき目1000%で見てしまうのは当然ですから。
成長が早い赤ちゃんの注意点
寝返りまでは育て方や訓練で早くさせる方法があまりなく、赤ちゃんに任せるしかないのです。
首の座りが早かったわが子は、生まれた時にはすでに首の座る条件が揃っていただけであり、生まれてから急激に成長したわけではありません。たまたまスタート時点で他の赤ちゃんと差が付いていたにすぎません。成長スピードは変わらないのです。そもそも首のすわりが早い程度のことは、その後の成長において、大きなアドバンテージにはならないのです。
寝返りが早い条件は、体重が軽いことです。寝返りが早いから成長が早くて優れていると考えることも多いようですが、母乳やミルクをあまり飲まずに、体重が増えていないために体重が増えずに身軽なため、寝返りが早いこともあるようです。
成長が早いとうれしくて誇らしくて、次のステップも早いことを望むようになります。ここからが注意しなければならないところなのです。
立ち上がるまでにさせること
立ち上がるまでにさせることは、以下の3つです。
- お座りをさせる
- ズリバイをさせる
- ハイハイをさせる
ここで注意すべきことは、親が強制的にお座りを練習させることです。早く次のステップに進めたくて、まだお座りできるだけの体ができていないのに、お座りさせようとする人がいます。
お座りを練習させることで、お座りができる時期は早くなります。わが子にもお座りはさせていました。しかしまだ無理だと感じる時期にはさせませんでした。体ができていないのに座らせると、体に負担がかかって良くないと言われています。
赤ちゃんの筋肉も疲労し、かたくなる
「自分の体を自分で支えておすわりをするというのは、体を支える組織の成熟が進み、運動の発達が脊柱(せきちゅう)にまで到達している証拠。発達が進むことで初めて、できるようになります。
ところが、自分の力でできるようになる前に、ベビーソファなどを使って強制的におすわりをさせると、腹筋や背中を支える靱帯(じんたい)や骨、関節を支える構造物などの組織が育っていないので、背中の筋肉がすごく頑張らなくてはいけなくなります。
長く座らせておくと、大人が肩凝りで肩が痛くなるように、赤ちゃんの背中も筋肉疲労を起こし、かたくなって痛みが出ることがあります。抱っこから降ろしたときに泣く場合は、もしかしたら、背中の筋肉が痛くて泣いている可能性もあるかもしれません」出典:たまひよ | 妊娠や出産、育児のお役立ち情報サイト>【理学療法士に聞く】首すわり前、腰すわり前からの”おすわり練習”がNGな理由
お座りだけは、無理をさせない程度に練習させたほうがいいようです。
お座りと違い、ズリバイやハイハイは、できるようにフォローすることは問題ないです。むしろ積極的にフォローすることをお勧めします。
これらの移動手段で注意したいのは、高速になり距離が増えた時に、膝を痛めないように気を配ることだけです。それも異常なスピードでない限り、怪我をする可能性はほとんどありませんから、普通ならば気にしなくてもいいでしょう。
つかまり立ちと歩行
ハイハイまでとても早くできるようになった子は、そのまま子供に任せて成長させれば問題ありません。しかしハイハイまでが早いと、次のステップであるつかまり立ちも早くなってほしいと思うことが多いようです。
成長が早い子供でなくても、多くの親は、なるべく早く歩行して欲しいと考えます。赤ちゃんの成長が早かった場合は、この時点で自分の子供はとても優れた子であり、歩行が早くできるのも当たり前で、なかには「すぐに歩き出さないと我慢できない」と思ってしまうことがあります。
これは私も経験があります。寝返り、お座りまでが早かったため、きっととても早く立ちあがって歩き出すと思っていました。しかしズリバイがなかなか始まりません。この時は「今までの成長は早かったのだから、これからも早く成長して欲しい」と思ってしまいました。
お座りまでが早かったからこそ、ズリバイが早い時期にできなかったということだけで、わが子に対して多少なりともがっかりしてしまったことをしっかりと覚えています。
注意したいのは、私が思ってしまったような気持ちになることです。
ハイハイまで早くできると、つかまり立ちも早くしてほしいと思うことが多いです。そして、つかまり立ちをフォローしてしまうのです。立ったらすぐに歩行器を使って、早く歩けるようにする人もいるようです。
ハイハイまでの成長が早かったので、つかまり立ちも早くて当然だと考えることは当然かもしれません。しかしつかまり立ちや歩行は、無理にさせるものではないと考えます。
まだ十分に立ち上がったり歩きだしたりするための体が出来上がっていないうちに、立つことや歩行を促すことは、決してプラスにはなりません。それどころか、立っても転倒する時の危険回避能力が備わっていないため、怖くてつかまった物から手が離せない時期が長くなります。その場合、自力歩行ができるまでに半年以上かかることもあります。
早く歩いて欲しいと思い、早く立たせたことが最終的には自力歩行できるまでの期間を、大きく遅らせることにもなるのです。
このことについて、つかまり立ちは急ぐ必要はありません 早く立たせないで健全な成長をという記事を書いています。興味のある方は是非ご覧ください。
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つかまり立ちは急ぐ必要はないと思っています。わが子は早く立たせようは考えませんでした。
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歩くことと知能の成長
8ヵ月で歩いた赤ちゃんの場合、身体能力は優れていますが、知能の発達は8ヵ月なのです。
早く歩くと、安全に歩くだけの知能の発達がない状態の可能性が高いため、1歳で歩いた子よりも危ないことをしてしまうことがあります。
生後12ヶ月で歩き出した子は、知能が12ヶ月の子なりに発達していますが、8ヵ月で歩き出した子は、知能の発達がまだ8ヵ月なのです。知能の発達が少ない状態で歩くのですから、周囲に対する配慮が欠けて転倒するときもまわりを気にしないことがあります。
壁のそばで転倒すると、壁に頭をぶつけて怪我をするかもしれません。早く歩きだした子は普通に歩き出した子よりも、周囲に気を使う気持ちが足りないため、家族が注意を払う必要があるのです。
成長が早くても追いつかれる
首の座りが早くても、寝返りが早くても、立ち上がるのが早くても、歩き出すのが早くても、いつかは他の子に追い付かれるものなのです。成長が早いから、他の子よりもずっと優れたままでいることはないのです。
逆に遅くても、いつかは追い付けるものなのです。
立ち上がるのがとても早くて、「末はオリンピック選手」と言っていた人がいましたが、歩行までに大変な時間がかかりました。むしろ普通よりも歩きだすのはやや遅かったのです。無理やり立たせることは親がフォローすればできますが、無理やり立たせると歩き出すのが遅れてしまうことを、目の当たりにした出来事でした。
子供に期待を掛けることは誰でもしてしまうものです。
成長が早いと、すぐに嬉々として「すごい子になる」と思う人も多いです。しかし先ほどの例のように歩き出すのが遅れた場合、今まで成長が早くてすごい子になるという期待が、打ち砕かれてしまうのです。この反発で、子供に対して幻滅してしまうこともあるのです。
子育てはつねに、過度に期待を掛けずに育てる方がうまくいくことが多いのです。
今回は肉体的な成長について記事にしていますが、頭脳の成長が著しいと、これまた期待を掛けすぎてしまうことがあります。
ちょっとだけほかの子よりも成長が早いだけで、過度な期待を掛けた結果、その後成長が遅れたり、他の子に追いつかれた時には、ショックでそれから子供の成長に興味が持てなくなったりすることがあります。
子供の成長は、過度な期待を掛けず、おおらかな目で見て静かに成長を見守ることをお勧めします。