叱らないで子供を育てることを推奨する意見があります。私たち夫婦もその意見に賛成で、なるべく子供に「ダメ」と言ったり叱ったりしないで育てていました。しかしわが子が1歳を少し過ぎた頃、それはもしかしたら間違いではないかと思うようになりました。
そして「ダメ」と言うべき時には、毅然とした態度で「ダメ」と言って叱ることにしました。
正しい叱り方をすれば、素直でいい子になることも実感できています。
わが家で実践している叱り方について記事にしてみました。
目次
叱らないで育てる
乳児や幼児に「ダメ」と言うのは、子供の行動に対する否定です。
乳児幼児に否定の言葉を掛けるのは好ましくないという考えから、「こうすると危ないからこうしようね」とか「ここに置くと邪魔になるからあっちに置こうね」など、問題のない行動を提案するような方法がいいと言われることがあります。
私も最初は確かにその通りだと思いました。怒ることは子供を委縮させるので、悪い影響が出そうです。それよりも怒らずに正しいことを教える方がいいように感じられたのです。そしてわたしたち夫婦は、わが子に「ダメ」と言わずに育てていました。
生後1歳3ヶ月になった時のことです。私が会社の休日で家にいた時に、わが子がペットボトルで遊んでいました。空のペットボトルの蓋を閉めたいのですが、うまくできません。何度トライしてもうまくいかないので、かんしゃくを起こしました。
それはひどいもので、たったそれだけのことなのに、物を投げ付けながら涙をぽろぽろこぼしながら暴れるのです。びっくりしました。
妻に聞くと、今までここまでわがままを言うことはなかったとのことです。そして、私が家にいるとわがままが激しいと言われました。
その夜わが子のわがままについて、夫婦で話し合いました。
その時に、妻はわが子が1歳2ヶ月になった頃から、ダメなものはダメだと言っていることを聞きました。
わが子に対して、まったく叱らないでいると、わがままがエスカレートしてくるようになったためです。
妻が叱り方を変えたことは、薄々わかりました。私が家に帰って子供の顔を見ると、ひきつったような笑顔を見せることがあったからです。おそらく妻が私がいない時には子供を少々叱っていて、叱られることに慣れていなかったわが子は、戸惑っていたのでしょう。
しかし妻のやり方を信じて、あえて何も口を出さずに任せていたのです。
私もずっと叱らずに育てることが正しいのか、疑問と不安を持っていました。
子供のわがままがエスカレートしていることを考えて、私たち夫婦は、「子供を健全に育てるには、ダメなものはダメだと言うことも必要」という意見でまとまりました。
2人で話した内容は、以下のものです。
- 私が家にいるとわがままがひどくなる。
- 私が望むことをすべてしてあげているので、甘えが出る。
- ダメだと教えないと、してはいけないことがあることを理解できなくなる。
- 保育園に行くようになると、「ダメ」と言われることもあるはず。初めて「ダメ」と言われたのが親以外になるので、その時には戸惑うだろう。
- 甘やかせ過ぎると、精神が弱い子になる。
叱らないで育てることは、決していいことばかりではないことも、話し合うことで確認できました。
正直、母親がしっかり育てていれば、父親が少々甘やかせてもダメな子供にはならないでしょう。しかしまったく厳しいことを言わない父親と、しつけるために時々厳しいことを言う母親。この二人がいたら、厳しくない父親に子供は懐いてしまうのです。
つまり妻が毎日ずっと、一生懸命育てても、私といる時は私ばかりに懐くため、妻がとても悲しい思いをしてしまいます。
これでは妻に申し訳ないため、私もダメなことはダメだとはっきり言うことにしました。
私たち夫婦の叱り方
そもそも子供がやってはいけないことをした場合、すべてを「ダメ」と言ってはいけないことにしている考えには、私は違和感を持ちます。
実はこれは、最初から「絶対にダメと言ってはいけない」という意見だったわけではないようです。
ダメと言わない育児について調べてみると、アドラー心理学が元になっていることを知りました。
あくまで「幼児はダメと言わないで育てることも一つの手である」という意見から始まり、それが少しずつ「幼児にダメと言ってはいけない」という極端な意見を唱える人が増えたのです。
実際、そのような意見をそのまま受け取り、本当に「ダメ」と言わずに育てようとしている人までいるのです。
よく考えれば、一切ダメと言わずに育ててしまうと、悪いこともたくさんあると気付くのではないでしょうか?
ダメと言うべき時ははっきりと「ダメ」と言い切り、言ってはいけない時には言わないようにすべきで、その見極めが大切だと思います。
やってはいけないことをやる場合、いくつかのパターンがあります。子供は悪いのをわかっていて、あえていたずらでやる場合もあるのです。
- やってはいけないのか確認するため、わざとやってみる。
- 親に相手にしてほしくて、気を引くためにいたずらをする。
- 親が困る様子を見て楽しんでいる。
- 悪いことがわからずにやってしまう。
1と2は悪気があってやるわけではありません。このような時にいきなり怒らないようにしましょう。優しく「やらないでね」と言えは止めてくれることがほとんどです。
3についてです。人を困らせて楽しむいたずら心を持つ子がいることは理解したほうがいいでしょう。その上で、自分の子供がかわいいいたずら心で親を困らせているのか、強い悪意を持っていたずらをしているのか、判断することが必要です。
強い悪意が感じられたら、叱るべき場合があります。もちろん最初から強く叱りつけることはしない方がいいです。それでも親を困らせて楽しむことを放置してはいけないでしょう。困らせることを止めるまで、(止めるように)言い続けることは必須ではないでしょうか。
4はやってはいけない理由を説明します。しかしやってはいけない理由を説明しても、納得せずにいることも多いものです。言うことを聞かないことも、わが子は多いです。
そのような場合は、毅然とした態度で、「ダメ!」と言っています。
大切なのは、自分の感情ではありません。自分が忙しい時に、子供にやって欲しくないことをされたら、カッとなってひどく叱りたくなる気持ちはわかります。そこを耐えて、子供はなぜこんな悪戯をするのか考えてみましょう。そして最初は優しくやってはいけないことを伝えましょう。子供の気持ちを考えて、叱り方を変えていく必要があると思います。
もう一つ大切なことがあります。一度ダメだと言って制止したことは、どれだけ泣いてもダメだと言い続けなければいけないと思います。泣くことに負けて途中でやらせてしまうと、「親なんて泣けばすべてやらせてくれる」と思います。賢い子ならば、泣くことで親をコントロールできると考えることもあります。(私の幼少期がそうでした。しっかり記憶に残っています)
わが子も2歳になる前から、親をコントロールしようと嘘泣きしていました。
親をコントロールするつもりがなくても、泣いたことで「ダメ」と言ったことを撤回してしまうと、言っていることが途中で変わったことになります。親が意見をころころ変えるようでは、子供は信用してくれません。
幼児期に親が子供に信用されることはとても大切です。子供とはブレのない付き合い方をして、信頼関係をしっかり築くようにするほうがいいと思います。
ダメだと言わないで「それはやめようね」とやさしく説明しても、幼児には理解できないこともありますし、優しく言っても聞かないことも多いのです。「ダメ」と言わずに育てると、どうしようもないわがままな子供に育つ可能性すらあります。
ただしなんでもかんでもダメとは言わず、人に危害を加えることや、自分の身に危険が及ぶことについてだけは、しっかり「ダメ」だと厳しく言うほうがいいでしょう。それがしっかりできていれば、物を散らかすことなどでも、優しく「ダメだよ」と言えば、言うことを聞いてくれるようになります。
子供は叱りつけてもいけませんが、甘やかせ過ぎてもよくないでしょう。しかしすべてを容認して甘やかせてしまうくらいなら、厳しくダメだと言った方がいいことも多いと思います。
感情的に怒るのではなく、子供の成長のために「しつける」と言う気持ちを持って子育てを行うことが重要だと考えます。
叱らない育児を推奨している人や、実践している人は、上に挙げた2と3のパターンの、「子供が親の気を引くためにいたずらをしたり、からかったりしている」のに、優しく対応するのでしょうか。もちろんそれがいい場合もあります。しかし絶対にやさしい対応ではダメな場合もあります。親が怒らないことを知って、調子に乗ることもあるからです。
そのように育ててしまうことで、とてもわがままな子になってしまうのではないでしょうか。
本当に「ダメ」と言わない育児を実践している人
本気で「ダメ」と言わない育児を実践している人が、少数ながらもいるようです。ダメと言わないことを推奨している情報を見て、すべての場合にそれを当てはめているようです。
- 親や他人をバカにしていてもそれをダメだと言わない
- 他人にどれだけ迷惑を掛けてもダメだと言わない
この2点について、ダメと言わずに育てることは、果たして正しいのでしょうか?
私たち夫婦はとてもたくさんわが子に「ダメ」と言っています。
でもそのことで、わが子が卑屈になることも、のびのびと生きられないように見えることもありません。
悪いことはダメと言いますが、いいことはしっかり褒めているからです。悪いことをダメだというのは当たり前で、いいことは褒めることも当たり前。この当たり前のことをしているだけなのです。
そして最も大切なことですが、私たち夫婦は感情的にわが子を怒ったことが一度もありません。怒った後で「言い過ぎた」「言わなければよかった」と罪悪感を持ったこともありません。言うべき時には言いますが、決して自分の感情で怒っているのではなく、子供が正しく育っていくために、子供のためを思って「ダメ」と教えているだけなのです。もし怒り任せて「ダメ」と言っているのであれば、それは絶対に止めるべきだと思います。
感情的に「ダメ」と言わずに育てたことは、イヤイヤ期に大きな恩恵を受けることになります。
わが子は2歳10ヶ月を過ぎましたが、イヤイヤ期がありません。
ダメだと言って子供がやろうとしていることを静止しても、優しく理由を説明すれば、態度で何となく親の優しさが伝わります。
そのように注意しながら、子供ができる限り不満を持たないように育てると、イヤイヤ期はなくなるのです。
「ダメ」と言って育ててもいいですが、感情的になって怒ってはいけません。まったくダメだと言わない育て方も、わがまますぎる子供にしてしまう可能性があることを、理解しておいた方がいいでしょう。
イヤイヤ期については、【イヤイヤ期】効果のある対応方法 子供を魔の2歳にさせないためにという記事を書いています。この記事につながる記事ですから、ぜひお読みいただけたら嬉しいです。
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